2020年10月20日火曜日

論文紹介①

 【論文紹介】

「聴覚失認を呈した一症例の
  コミュニケーション改善向けた
  視覚性注意機能訓練と視覚的代償
  訓練の効果」

 作業療法39巻pp495‐502,2020
 清水賢二,酒井 浩,高橋守正,他

  当初,語聾と考えられたケース。
  他の認知機能の低下もあり,広義的に
  聴覚失認いう範疇で取り扱いました。
 注意機能,特に視覚性注意機能の改善,
  推測的・文脈的な理解が可能となること
  によって,言語の聞き取り能力はアップ
  したが,閉眼状態や電話での聞き取り能力
  はあまり変化しなかったことから,
  口の動きや非言語的な入力情報,あるいは
  文脈などの情報をもとに言語の
  聞き取り能力がアップしたものと考え,
  特に視覚に関する注意訓練や代償的な情報
  処理能力・推論能力の改善訓練が
  効を奏したのではないかと考えられました。
  語聾や聴覚失認の報告,特に介入変化
  に関する報告は少なく,本例のように
  根本的な改善は難しい印象であるが,
  それでも,注意機能や非言語的情報の処理
  と思考類推の機能が改善することよって
  コミュニケーション能力はアップすること
  が期待できる。
  そう感じられた経験でした。